「物語工学論ーキャラクターのつくり方ー」は、新城カズマさん著(角川ソフィア文庫 平成24年5月25日初版)の小説を書こうとしている人にとってはバイブル的1冊です。
何故そう言いきれるのか。
それはこの本が、私が手にした5年前にすでに第3版が発行されているから。
売れていなければ、第3版まで発行されることはないですからね。
では、中を見ていきましょう。
この本では、物語のキャラクターを作っていく上で、そのキャラクターを大きく7つに分類しています。それは以下の通り。
1. さまよえる跛行者
2.塔の中の姫君
3.二つの顔を持つ男
4.武装戦闘美女
5.時空を越える恋人たち
6.あぶない賢者
7.造物種を亡ぼすもの
それぞれのキャラクターについて、カズマさんは分類名の定義や既知のキャラクターを例に挙げ、さらに解説を深めていきます。
例えば、私が拙著「オブシディアンの指環」のメインキャラクターとした藤井夢心には「武装戦闘美女」と「時空を越える恋人たち」の要素を持たせていますが、武装戦闘美女とは、文字通り「戦う女性キャラクター」で、リボンの騎士のサファイヤ王子、あるいは美少女戦士セーラームーン、エヴァンギリオンの綾波レイやアスカ・ラングレーなどを例に挙げ、武装戦闘美女をキャラクターに仕立て上げたときの物語の展開や目指すべき結末に至るまで、フローチャートを用いて丁寧に解説しています。
オブシディアンの指環では、武装戦闘美女として、夢心は天羽々斬剣という武器を手にします。
天羽々斬剣は、出雲に降り立った素戔嗚尊が八岐大蛇を退治する際に用いた剣です。
優れた運動神経を持っていた夢心ですが、夢心が持っているオブシディアンの指環と天羽々斬剣が共鳴して、更に大きな神秘的な力を発揮する、そんな設定にしています。
ちょっと説明が専門的でわかりにくい部分もありますが、自分にとって有用と思える部分を抜き出して参考にするのもいいですし、私の場合には、それぞれの分類の最後に書かれていたフローチャートがとても役に立ちました。
また一人のキャラクターを1つの分類に纏め上げてしまうのではなく、本の中でも述べられていますが、物語の中のキャラクターも私たちと同じように、いくつかの要素を同時に持っている者です。頑なに、このキャラはこれ! と決めつけず、こういう要素もあればこういう要素も持ち合わせているな、と柔軟に考えてみるのがいいと思います。
物語工学論。
これから物語を書こうとしている方、いま書いている方にも参考になる1冊だと思います。


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