次に読みたい本がここにある 9 「凜の弦音」

 今回ご紹介するのは、我孫子武丸さん著の「凜の弦音りん  つるね」(光文社文庫)です。前回の「凜として弓を引く」に続いて、弓道シリーズの第2弾です。
 それにしても弓道には「凜」としたイメージがあるんでしょうね。前回のタイトルにも「凜」が使われていますし、今回ご紹介の「凜」は、物語の主人公である篠崎凜しのざきりんの名前も兼ねています。

 「凜として弓を引く」は、主人公の矢口楓やぐちかえでが弓道に取り組みながら成長していく物語でしたが、今回の「凜の弦音」では、篠崎林はすでにかなりの弓の腕前で、参段の審査試験を受けるために師と仰ぐ棚橋たなはし先生の自宅にある道場に通ったりしている。
 自宅に弓道の同情があるなんて、一体どんな家なんだろうと想像してしまいます。

 そして、この本のもう一つの特徴は、全部で7つの章立てになっているのですが、それぞれの章で何かしらの「事件」が起きるのです。そしてそれらの事件を篠崎凜が名探偵ぶりを発揮して解決していくという、推理小説の要素も持ち合わせているので、読んでいて飽きません。

 また凜に好意を持つ放送新聞部2年の中田隆司なかたりゅうじとの、どこかコミカルな恋愛関係が物語全体に軽快なリズムを加えていますし、物語の途中で登場する波多野郁美はたの いくみは、凜にとってライバルでもあり目標ともなる関係になり、郁美もまた凜を同じように捉えていて、互いに意識し合いながら物語が進んでいきます。


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 この本も前回の「凜として弓を引く」と同じように、拙著「オブシディアンの指環」の3作目である「故郷への旅路」を書くために読んだ本です。
 特にこの本に限ったことではないのですが、読んだ本の影響というのは少なからず受けるもので、いまになってサーッと読み返してみると、なるほどあの部分、この部分が自分の作品に色を落としているんだなぁということが分かります。
 因みに、甲矢はや乙矢おとやといった言葉や、矢の回転など弓道の基本的事柄もこの本から学ぶことが出来ました。

 物語の終盤、弓道とは何か? という問い掛けが凜と郁美になされる場面があります。
 もちろんこれは作者の考えでもあるのですが、碧野圭さんと同じように、日本の伝統文化に対する敬意と危惧が入り混じっている気がします。

 私は大相撲が好きで毎場所、毎日、欠かさず見ますし、東京の国技館にも何度か足を運んだことがあるのですが、最近のお相撲はちょっと酷いと言わざるを得ません。
 まず観客のマナーが悪すぎる。仕切り中に声援を飛ばすのはいいとして、最後、力士が制限時間いっぱいで立ち兄向かったら、口を噤むべきです。あんなに五月蠅くては、心技体の「心」が整いません。つまり国技たる相撲がそもそも成立しないことになります。

 それと審判。
 完全に力士の体が死に体になっているのに、先に土俵に落ちたとかで勝敗を決するケースが増えました。力士にとっての取り組みとは試合であり、試合とは「死合い」であり、命をかけてやるものです。だからそれを裁く行事も、自分の判断が間違っていたときには「差し違える」覚悟で短刀を腰に据えているのです。
 八角理事長、もっとその辺りのことを考えて欲しいと思います。

 また力士の側にも問題が大ありです。
 まず、ほとんどの力士が太りすぎです。かつての名力士、北の湖でさえ、いまの力士より遙かに小さいです。千代の富士や北天祐など、いまの力士とは逆でかなりの筋肉質です。大関になった琴乃若改め琴櫻、あるいは横綱大の里はもっと痩せないと力士寿命を縮めますよ。そういう意味では、今年注目株の「義ノ富士」も体重をしっかり管理した方がいいと思います。

 それからこれも仕切りの話になるのですが、仕切りとはお互いの呼吸を合わせる時間であって、ただ塩を振って、顔をつきあわせるだけの時間ではないのです。かつては呼吸が合いさえすれば、制限時間前に「立つ」取り組みもあったのですが、いまは皆無ですね。寂しい限りです。

 こうした日本ならではの文化やしきたり、風習という、一言で言ってしまえば「伝統」が、外国人を楽しませるためかどうか知りませんが、蔑ろになってしまっている氣がしてなりません。
 本論から外れますが、私が「気」ではなく「氣」を使うのは、「気」が戦後、強制された文字だからです。本来の氣は、四方八方に発せられるもので、それ故に「氣」だったのですが、戦後、日本人の精神性を恐れたGHQ、つまりはアメリカがその氣を「しめて」殺してしまったのです。それがいま常用漢字となっている「気」なのです。

 本題からかなり外れてしまいました。

 弓道という「道」を使う以上、やはりそこには日本人の精神性が色濃く反映されるべきですし、日本人として、古くから日本人が大切にしてきたことを改めて大事にしようよ、そういうことを青野さんや我孫子さんは伝えたいのではないのかなぁと、一読者としては思うのです。

 この本を読んでみて、みなさんはどんな風に感じるでしょうか。
 もし宜しければ、感想などお寄せいただければ幸いです。

 次回、もう1冊、弓に関わる本をご紹介しようと思っています。

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